NHK杯・全国高校放送コンテスト広島県大会の審査を担当しました(飯田講師)

講師の飯田です。

6月12日(日)、福山市立福山中・高等学校で開催された「NHK杯・全国高校放送コンテスト」広島県大会で審査員を担当させていただきました。このコンテストは、全国の多くの放送部員にとって一年で最大のイベントで、アナウンス、朗読、ラジオドキュメント、テレビドキュメント、ラジオドラマ、テレビドラマ、校内放送研究といった部門があります。夏休みに全国大会がおこなわれるNHKホールは、放送部員にとっての甲子園といえます(ちなみに、アナウンス部門と朗読部門の上位入賞者は、翌春の甲子園の司会進行役を依頼されるそうです)。僕は今年度、ラジオドラマ部門の審査員を務めました。

このお仕事をお引き受けして今年で4年目になります。秋の大会(広島県高等学校総合文化祭放送文化部門)の審査も担当させていただいているので、ベテランの域に達してきました(笑) かつて大会で顔を合わせていた生徒のなかには、いまメディア情報文化学科で学んでいる学生もいます。

審査の基準としては、プロに近い水準であるかどうかではなく、あくまで「高校生らしさ」が求められます。NHK杯の開催要旨には、「高等学校の特色ある教育活動の中枢となる校内放送活動の健全な育成」、「美しく豊かな日本語を大切にする心情を育て、あわせて話す力、表現する力を高める」、「学園生活の中にうるおいを育て、心のふれあいの場をつくる」といった目標が掲げられており、高等学校の教育理念と密接に結びついているといえます。こうした理念を踏まえることで、NHK杯を目指している高校生たちが制作する作品は、ちょっと語弊があるかもしれませんが、「優等生」的であることが求められます。

それにも関わらず、近年の審査で印象なのは、学校の教室もしくは部活の息苦しさ、そのなかでの身近な他者(クラスメイトもしくは部活の先輩や後輩)とのコミュニケーションの不自由さ、それらをどう乗り越えて「成長」するかということが、多くの作品のテーマに据えられていることです。今年は自殺を扱った挑戦的な作品もありました。

過剰に「優等生」的でないことが純粋に嬉しい反面、こうしたモチーフが(既存の映画やテレビドラマ、アニメなどの影響も無意識に受けつつ)おそらく全国の同世代のあいだで共有されているという現状を自覚し、これからの創作に活かしていってほしいと思います。

(メディア情報文化学科 講師 飯田豊)

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