こんにちは。「地域と広報」の授業も昨日で最終回でした。今日は、先日行われた学生による備後地域活動インタビュー、尾道の永井さん編をレポートします。今回の課題では、発表の方法を発表者に任せており、写真を駆使したスライド発表やジンをつくって配布しながらの発表などいろいろとありましたが、このグループは得意の映像を使っての発表をするということで、インタビュー場所は非常に大掛かりな状況に…。インタビュー映像を録る上での段取りを、永井さんご自身に手伝ってもらったりとひやひやする場面もありましたが、なかなかよい映像になっていたのではないでしょうか!

永井さん取材

永井さんは、尾道駅から歩いて5分くらいの、光明寺横の坂を登っていったところにある小さなパン屋さん「ネコノテパン工場」を経営していらっしゃいます。尾道には、坂に建てるという使命からか一風変わった住宅が所狭しと並んでいるのですけれども、ネコノテパン工場が入っている住宅もまた変わった建物で、地下倉庫のような場所を永井さんたちが自分たちで改装されてつくったんだそうです。「ふつうのものをつくってもおもしろくない。せっかく尾道まで来てもらったのだから、宝探しのような感覚でお店を見つけてもらって、ほかの場所では得難い体験に価値を見出してほしいんです。」と永井さんがおっしゃるとおり、ネコノテパン工場の売り場に入れるのは1人のみ、小窓からお店の人にパンを渡して買うという、何屋さんでもなかなかない経験…!いまのまちの姿と自分たちのやりたいこととをゆっくり呼応させつつ、地域の人たちとの「助け合い」を通してここまでやってきています、と強調されていたのがとても印象的でした。広報媒体として注目しているのが「ポスター」というのも驚きでした。この時代、何から何までデジタルで・・・というわけではなく、地元のひとに信頼されるためにはということを真剣に考えると、街の掲示物というのもまた重要なメディアなんですね。

今回お話を伺った場所あくびカフェーは尾道の商店街の中にあって、ゲストハウスあなごのねどこに隣接する形で作られています。永井さんはネコノテパン工場だけでなく、尾道の空き家再生プロジェクトにも多く関わっていらっしゃって、尾道の「地域」を支える要となる方です。お話を伺いながら、自分たちで自分たちの活躍できる場所をつくったり、おもしろいと思う価値を提供したりするといった動きが、尾道の地域の中でゆっくりゆっくり進んできているのだということ、そしてそれらの活動が新たな「自治」となって無理のない形で地域の中に浸透しつつあるのだなあということを思いました。固有の文化体験、生活空間を存分におもしろがって、それらを自分たちの手の感覚で仕事や居住のレベルまで引き上げていくことが、これからの地域を考えていくうえで大切なことだなと改めて思い至った次第です。永井さん、お忙しいところどうもありがとうございました!!!

 

「地域と広報」の授業を通して、ブログで紹介した方々のほかにも、笠岡市のカブトガニ博物館の副館長の方や、福山の商店街で進められている宮通り祭りを企画している福大生など、地域で活躍していらっしゃる方々に貴重なお話を伺うことができました。備後地域の情報の地政学、ひとつひとつの地域活動の機微を伺うことができ、どれもとても実りある発表となりました。この場を借りて御礼申し上げます。

 

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