こんばんは。昨日はいきなりの大雨・嵐のなか、シティライツ法律事務所の水野祐さんとスカイプでつなぎ、インターネットを介してすでに起こっている「二次創作」と呼ばれる創造活動などについて法律の観点からお話していただきました。安田ゼミとの合同になったのと経済学部の学生さんや大学の方も来てくださったので、研究室はパンパンに。。聴く環境が悪かったのは申し訳なかったです。サマーウォーズばりに、画面と対峙しながらのスカイプゼミとなりました。

スカイプゼミ1こちらが水野さんです。(前髪がざざーっとなっているのは、私のカメラの角度の問題です、すみません!!)弁護士業務とはという話に始まり、前の事務所にいらした時から自分の仕事としてやられていた、「Arts and Law(AL)」や「Creative Commons(CC)」の話を中心に伺いました。

ALは2004年に設立され、「作家やクリエイター、企画者などのアートマネジメントの現場を対象に、弁護士を中心とした専門家(*2)による法的支援のプロボノ=ボランティア活動」(ホームページより引用)を行っている団体です。代表の作田さんが、ニューヨークで行われているVLA(Volunteer Lawyers for the Arts)のようなことを日本でもできないかということで組織を作られ、今では東京都の文化事業とも関係しながらクリエイターたちへの法的な相談会やレクチャーなどを行っています。法律というと身構えてしまいますが、法律を知らないことによって損をすることもとても多くそういった事態を防止することや、より法律を身近に感じてもらうことなどを目的に置きながら活動をされているそうです。VLAには3000人もの法律家が関わってるということに驚きましたが、そのくらい法律というのは私たちの日常にも近いことなんですよね。ALの活動が10年を迎えているというのにも納得です。

スカイプゼミ2続いて、CCのお話へ。CCについては私も授業の中でも、ドミニク・チェンさんの『フリーカルチャーをつくるためのガイドブック』(フィルムアート社、2012)などを引きながら話をしています。CCが提供しているライセンスについては、こちらを参照してもらえればと思いますが、法律家がそこにいなくてもコンテンツを使用する条件がぱっと見てわかる、という利点があります。これはコンテンツの受け手に限らず送り手にも言えることですが、何もしないでいれば著作権が適用されてしまうので、意図せずに潜在的に著作権侵害をされて/してしまう恐れが常について回りますが、CC表記があればその点は条件としてクリアになります。メディア情報文化学科ではコンテンツ制作の授業も多いですから、送り手受け手双方の立場からCCの思想をかぎとって、うまく活用してほしいなと思います。

スカイプゼミ3そして、今日の目玉である初音ミクの話へ。先月の『美術手帖』には水野さんが「キャラクター・初音ミクの新しさってなんですか?」という文章を寄稿されていて、その文章は先週のゼミで読んでいます。初音ミクのボーカロイドを作っているクリプトン・フューチャー・メディアがキャラクタービジネスのあり方として、独自のライセンス規定(ピアプロ・キャラクター・ライセンス)をつくり、それによって本来ならば著作権でがちがちに守られがちな初音ミクイラストの著作権の一部が自由になる、さらにそれによって今日のような二次創作~n次創作が可能になったという経緯を細かく教えていただきました。初音ミクの創作文化というと、ニコニコ動画の盛況についてもよく言われますが、著作権規定を企業の側が戦略をたてて独自につくったということもまた二次創作を促す一つの要因となったというわけです。学生からは、独自の著作権既定の中での企業のマネタイズはどうなっているのかといった質問が相次ぎました。(みなさん、何か創作をされるのでしょうか・・・・?)

いまやクリエイターやアーティスト自身が自身の作品のライセンスを決められる時代で、音楽家の坂本龍一さんも自身で選択をしながらCCライセンスを使ったりされている、といったお話もありました。既存の著作権に頼っていた方がある意味「楽」な部分もあるでしょうし、何もかもライセンスフリーにして作品をオープンにすればよいかというと、それで萎縮してしまうクリエイターもいると思います。自身で状況を鑑みてライセンスを規定する、そういう意味でクリエイターにとっては難しい時代とも言えるし、おもしろい時代でもあるというようなことも水野さんはおっしゃっていました。一緒に聴いていた学生のみなさんはどのように考えられたでしょうか。今度改めて感想を聞いてみたいです。

スカイプゼミ4

最後の質問では「弁護士の方と話す機会はそうそうないから」と言って、肖像権の話から裁判員の話にまで広がりました。(水野さん、想定外の質問ばかりですみませんでした!)美術・音楽界に明るい水野さんのお話でしたから固有名詞も多く、論理を追うのに精いっぱいだった人もいるかと思いますが、今日の話を通じて、二次創作の文化や、CC・ALといった活動、もしくはわたしたちの日常と法律のこと、何かしらの観点から学生のみなさんの興味へとつながっていけばうれしく思います。大学時代に出会ったローレンス・レッシグの本から今につながっているという、最後の水野さんのお話もよかったですよね。大学時代に限らずとも、好き嫌いなくあらゆるチャンスに向き合っていってほしいなと思います。

 

水野さん、お忙しいなか充実の1時間をありがとうございました!!近々、お礼をと思っております・・!

 

 

 

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