こんにちは。GWまっただ中ですがいかがお過ごしでしょうか。今回は、福山市鞆の浦にあります、鞆の津ミュージアムで展開中の「ヤンキー人類学」展の紹介をしたいと思います。こちらのミュージアムとメディア情報文化学科とのつながりは、開館時のCMづくりに始まります。(学科学生がつくったCMは鞆の津ミュージアムのトップページを下にスクロールすると見ることができます。)その後も、ディレクターの櫛野さんにいろいろと声をかけていただき、映像制作で協力させてもらっていました。今回の展示でも、卒業生の松岡くんが映像制作協力をしているとのことで、ちらとお見せします。

入口正面

既存の「美術」の枠組みを越境する展示が多いことで、何かと注目を集めている鞆の津ミュージアムですが、今回の展示は「ヤンキー」です。

かつて、70~80年代にかけて見られた、リーゼント・変形学生服・特攻服・改造車などに代表される文化を好んだ若者は「ヤンキー」と呼ばれました。当時、そのようなヤンキー文化は「バッドテイスト」(悪趣味)なものとみなされる社会の周縁的現象であり、いまやほとんど見ることができないものになっています。

しかし、90年代にコラムニストのナンシー関は、ヤンキー的な資質をもつ芸能人やミュージシャンに人気が集まり、それらが神格化される当時の消費傾向から、ヤンキー的美意識が日本人のセンスに染みついていることを指摘していました。

展覧会の案内を読むと、今回の展示で目的としているところは、「過激」で独特な表現形態をもっていたヤンキー文化の表現物がその性格ゆえ、社会の周縁に追いやられてしまっているという現状を捉え返すことにあることがわかります。そして、このような形でヤンキーと隔絶していたはずの私たちの心性の中にも、ヤンキー的な思想があるのではないか、ということもまた付け加えられています。展示の中ではいわゆる日本的な「ヤンキー」の表現物だけでなく、パチンコや相田みつをの書といった日常的に馴染みのあるモノたちも展示されています。この、私たちの中にあるヤンキー的なるものについては、精神科医の斎藤環さんが『世界が土曜の夢なら』など複数の著作の中でも言及されていることで、本展のモチーフとなっている考え方です。

デコバイクの向こうに

そのようなわけで、所狭しと金ぴかでギラギラした展示物が並んでいるわけですが、その展示作品のひとつに地下格闘技団体「漢塾(おとこじゅく)」のものがありまして、格闘技の様子を伝える映像編集に卒業生の松岡くんが協力しています。(上の写真の奥にあるビジョンです。)
IMG_3685

映像

写真が光ってしまっておりますが…。ミュージアムにて現物を確かめてもらえればと思います。卒業してもなお、このような形で地域に貢献できているというのは頼もしい限りです!!!

ちなみに、私のお気に入り作品は↓こちらです。
デコトラミニチュア

この方は、デコトラにとても興味があったようで、デコトラの写真情報をもとに紙やストローなど身近な素材を使ってミニチュアを自ら作ってしまったというもの。ミュージアムにも数十もの彼のミニチュア作品が並んでいますが、実作したものは何百・何千という数のようです…。実際に車輪やアームが動いたり、細部まで再現しているところに脱帽でした。館内には、本物のデコトラも作品として展示されていますので、作品たちを見比べながらぜひ観てみてくださいね。

「ヤンキー人類学」展は7月21日まで。その間に、トークイベントやデコトラ撮影会などイベントも目白押しですので、ウェブサイトで情報を確認しつつ、卒業生の活躍とヤンキー的なるものたちをご覧ください!!

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