こんばんは。こちらでも告知しておりましたが、昨日1月27日に地域メディア論の最終発表会が、プロジェクトMの地域拠点である通称M亭で行われました。地域メディア論は、前半は地方局や地方紙、地方誌といったローカルなマスメディアの実態についてや、地域zine、地域アートといった昨今日本の各地でつくられつつある新しい「地域メディア」について学び、後半は受講生自らが地域に出て行って地域活動を調査するということを行ってきました。私たちが住み、学んでいる備後地域における地域活動のいまを捉えるために、ネットメディアで得られる情報と、実際に活動場所に足を運んで見えてくることについて比較しつつ、そこで想定される問題意識や「地域」という枠組、これからの地域活動の展開について考えるために、インタビューをはじめとする実地調査と発表という形式をとっています。受講生たちは、それぞれの興味関心に合わせて調査先を探し、調査依頼をし、お話を伺い、まとめるということを12月から継続して行ってきました。

発表練習

廊下を歩いているときに声がするなと思ったら、ちょうど発表練習をしているところでした。自分の担当部分の発表文章を見直しつつ、しっかりやってくれているようでとても嬉しく思いました。

開場

会場

こちらが発表会会場となったM亭です。「17時には会場準備のために集まってくださいね」と受講生にお伝えしておりましたら、みなさんそれよりもずいぶん前からスタンバイしてくれまして、開始1時間前にはほとんどの準備が終わっているという状況でした。開始時間に近づくと、プロジェクトMとして一緒に松永の地域活動に関わってくださっている今津のみなさんも集まりはじめました。嬉しく思うと同時に、発表者たちの緊張感で空間が詰まってきました・・。

発表会開始

というわけで、発表会の始まりです。私の方から簡単に授業内容を概観し、発表グループを3つに分け、発表と質疑応答を繰り返し行いました。近隣の美術館、カフェ、プロジェクトM、ライブハウス、マーケット、企画会社、食ブランド、放送局と多種多様な地域の活動についての調査が一堂に会すこととなりました。

はじめのグループは近隣の美術館に調査に行きました。ふくやま美術館、鞆の津ミュージアム、なかた美術館の3つの美術館に行き、地域との関わりとしてどのようなプログラムを組まれているか、ということを調べ、考察してくれました。美術館という場所の敷居を低くする、これがどの美術館でも考えられていることのようで、ふくやま美術館は駅前という利点をどう活かすかというところを考えていらしたり、「おかんあーと」と呼ばれるようなお母さんたちが作ったお人形を展示することで、いろんな人が「美術」の枠組みに参与可能なのだということを示したり(鞆の津ミュージアム)、尾道の人たちにものづくりワークショップの講師をやってもらうこと、チラシを親しみやすいものにしていく(なかた美術館)といったことが地域とのつながりとして挙げられていました。

発表の様子

今回は、倉敷や岡山まで足をのばしたグループもあり、倉敷は「倉敷路地市庭」という、美観地区近くの路地を活かしたマーケットを毎週(!)行っている団体にお話を聴きに行き、実際に手伝わせてもらうことを通して考えたことをまとめてくれたグループもありました。そして、なんと倉敷市庭の原さんと久保田さんが松永まで来てくださいまして、活動のことについてお話いただくというとても貴重な機会となりました。

倉敷からありがとうございました!

何でも、ここの「路地」はビニールハウスで作っているそうで、原さんや久保田さんたちがいいと思うものを売り買いしてもらう空間としてつくられているようです。はじめは、近隣のお年寄りのみなさんへの買い物機会として考えられていたようですが、最近は安全・安心なものを買うことのできる場所、人の動きを街中に取り戻すといったことも活動の射程に入ってきているようです。市に人口データを伺って、規模感を調査しながら活動が設計されていったとのことで、活動を興すことのいろはをいろいろとお伺いすることができました。原さん、久保田さん、このたびは本当に遠路はるばるお越しくださいまして、どうもありがとうございました!!!

この12月に岡山放送のスタジオがイオンモール岡山内に入ったこともあり、地域の放送の姿がこのことによってどのように変わりうると考えられているのか、についての発表もありました。岡山放送は学科のマスメディア論の授業でもお世話になっておりまして、毎年5月には岡山放送にみんなで見学させてもらっています。そのスタジオ部分がイオンモール内に移設されたことは日本初の試みということもあり、多方面の研究者が注目している事例でもあります。移転の理由として、今までのように社屋に入っていると見えなかった視聴者のみなさんの反応を、イオンモール内に入ることで生で知ることができるという利点があったようです。その他にも、モール内の巨大なビジョンでモール内の情報も放送されるなどし、お客さんたちはそのビジョンを楽しむこともできるし、ラジオ感覚で放送局の情報を買い物しながら得ることができるようになっているようです。イオンモールに放送局が進出することによって、地域の情報の流れがこれからどうなっていくのかと目が離せないなと、みなさん興味津々だったようです。

ゲストより総評をいただきました

最後に各グループの考察を持ち寄って、これからの地域活動に必要な条件についていろいろとディスカッションを重ねたかったのですが、密度の濃い発表と参加者のみなさんからの質疑応答とで、予定時間を大幅にオーバーしてしまいました。。受講生のみなさんからの最終レポートを何かしらの形で共有することで、次なる地域論、地域活動につなげていくことにしたいと思います。昨日は、ゲストコメンテーターとして、学科の企画プロデュース論も担当してくださっている尾道のまちづくりNPOの村上さんにも来ていただき、「なぜ・なぜ・なぜ」を問う姿勢を忘れないでほしいことをメッセージとしていただきました。地域の活動といっても、いろんな主体が関わっていますから、そのつど地域の「なぜ」、活動の「なぜ」を問い続けていくことが大事なのだと思います。今津のみなさんからも、「自信もって大きな声で」との激励もいただきました。いろんな方に聞いてもらう発表資料の作り方についても学ぶよい機会となりました。今回の調査・発表にご協力いただきましたみなさま、本当にどうもありがとうございました!!!受講生の皆さん、今回いただいた熱いメッセージを胸に、これからの発表や制作にどんどん活かしていってほしいなと思います。

ほんとにほんとの最後に・・・。発表会終わってホッと一安心の受講生のみなさんとのお食事会の様子です。

えびす屋にて

調査や発表の裏話を興奮混じりの口調で聞かせてもらいながら、来年度の地域メディア論のことを考え始めた、楽しい夜となりました。

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