こんにちは。こちらでもお知らせしましたが、1月27日(月)にプロジェクトMの場所にて、映画論の最終発表会を行いました。当日は、ゲストとして福山駅前シネマモード支配人の岩本さんにもお越しいただき、学生の映画分析と岩本さんの丁寧な解説とが交差する、とても有意義な会になりました。

映画分析会

この会は、映画論の受講生によって選ばれた松本人志監督『しんぼる』と三谷幸喜脚本『笑の大学』を素材に分析をするグループ、これらの作品から抽出されたキーワード(喜劇、密室、反戦、松本人志)から連想される作品について分析発表するグループとに分かれて行われました。第1部は『しんぼる』に関係する発表で、難解かつ不可解な『しんぼる』の前半・後半それぞれに対する解釈や好きなシーンについて発表してもらいました。続くグループが、密室に関連する作品『ホーンテッド・マンション』や『CUBE』を紹介しながら、さらに『しんぼる』の読みを進めていきます。最後に、主人公が向かう先は「神」だったのか否か云々。

岩本さんからは、松本人志監督が前作で感じた伝わらなさという「恐れ」からサイレント映画を指向したことに関して、「クロスカッティングなど随所随所にオーソドックスな映像技法が使われているのに、何を恐れているのだろうか。”サイレント的な表現”とはセリフなしで伝えることではなく、映像でいかに見せるかですよね」と切り込まれ、「松本人志的笑い」とはどんなものなのか、改めて言葉を探す場面も見られました。

ディスカッションの様子

後半は、三谷幸喜作品の『笑の大学』『有頂天ホテル』でのコメディの作られ方の分析に始まり、喜劇つながりで『奇人たちの晩餐会』のフランス版、アメリカ版を比較する発表や、反戦つながりで『ゴジラ』を取り上げるなど、多岐にわたって作品分析が行われました。発表の着眼点に、岩本さんが前に乗り出す姿も見られました。

三谷幸喜は舞台作家ということもあり、三谷作品は固定されたセットの中であらゆる人情劇が同時多発的に起こるおもしろさがあります。ひとりひとりの日常に哀しみと笑いとがない交ぜになっていて、滑稽なまでに表情やコスチュームが作られている場面などを発表してもらいました。『奇人たち―』のスライドも秀逸で、フランス版・アメリカ版の「奇人」の写し方の比較や「長回しで緊張感をもたせる」など撮影技術にも注目しながらの発表となりました。そして、『ゴジラ』。いまこういった形でモノクロ映画を観るとその迫力たるや息をのむものがありました。単なる怪獣映画としてだけでなく、科学者の苦悩や原子力への疑義をメッセージとしてもつ作品として取り上げたこの発表は、映画を歴史的に・技法的に・制作者側から観るおもしろさの萌芽となっていたように思います。

発表の様子最後に安田先生からのコメントにもありましたが、この会で紹介された映画をみなさん自身でもう一度観てみて、「あの解釈はどうだったのか」とか、「当時の人びとはどのような気概をもって映画を製作していたのか」などなど、改めて「映画論」してみてほしいなと思っています。映画会自体はこれからも継続していく予定ですので、次の機会には近隣地域の方々含め、たくさんの方々と議論ができるのを楽しみにしています!

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