こんにちは。福山大学も今日で仕事納めということで、やり残したことがないか探しつつ、来年(といっても来週ですが)の準備などをしております。今年もいろいろとお世話になりました。来年も、学内外で発表の機会を設けていきたいと思いますので、引き続きよろしくお願いいたします!
おそらく、こちらが本年最後のブログの投稿になると思いますが、「地域メディア論」にて、ゲストレクチャーとして広島県大阪情報センターから望月徹さんにお越しいただいた会をご紹介します。「地方創生と農業」と題して、広島県における農業の現状とこれから考えていくべき課題についてお話いただきました。
はじめに、広島県の農業の実態について、具体的な数値と歴史的観点からお話いただきました。日本全体の農業生産額が約10兆円であるのに対して、広島県内は1,000億円ほどで国内28位であることに加えて、49歳以下の就農者は4%にとどまり、農業を生業とすることの難しさが語られました。これは広島県に限ったことではなく、歴史的に見ても、国内の米消費量がこの50年で半減していることに代表されるように、食文化の多様化や農業従事者の所得の問題など、複合的な原因のもとに起こっていることと考えられるようです。
個人的に一番驚いたことは、県内での生産物の約10%ほどしか地産地消となっていないということでした。確かに、近所のスーパーで地物の野菜コーナーが設けられたのは、ここ数年のことだったかもしれません。何よりも身近な県内での農作物の流通を変えれば、また別の形での農業ができるのではないか、とおっしゃっていたことが非常に印象に残っています。
国内の特色ある農業についてもご説明いただき、野菜の出荷の仕方を変える、経営戦略をしっかり算段し、国内だけでなく国外も視野にいれてブランディングするといった工夫で、農業のあり方自体が大きく変わるという事例も伺いました。受講生からも「既存のシステムを見直すことが何よりも大事なのですね」という感想もあり、そこには熟慮と工夫とが必要なのだなということを強く感じました。
最後に、これからの展望についてお話いただきました。物や産地中心の考え方から、人間中心かつ生態系全体の適正規模をも見据えた形での農業や生活のあり方についても多角的に事例を交えてお話いただきました。個人的に、「ゆたかな暮らし」の語られ方について関心をもって調べていることもあり、最後のお話は非常に興味深かったです。こういった観点が、受講生のみなさんの最終課題の糸口になったらおもしろいなと思っています。
最後になりましたが、90分を超える熱い授業(時間を忘れるくらい集中することができました)をしていただきまして、本当にありがとうございました!!