メディア情報文化学科には今年度、「マスメディア論」という講義が新設されました。この講義では今年、岡山放送と共同で新しい試みに取り組んでいます。
岡山放送は、岡山県と香川県の両県をまたいで放送免許が与えられた、フジテレビ系列の放送局です。「マスメディア論」には半年間、岡山放送から2名の現役局員の方(中尾公 総務局次長 と 塚下一男 東京支社業務部長)に講師としてお越しいただきます。編成、営業、報道といった多角的な観点から、ローカル局の現状、課題や展望などをお話しいただく予定です。
ただし、履修者は講師の話を聴くだけでありません。大学生は今、身のまわりに溢れるメディアに対してどのような関心を持ち、その中でテレビをどのように受け止めているのでしょうか。こうしたことを放送局の方々が探り、学生と語り合う場にしていきます。放送局の側からみれば、いわゆる”テレビ離れ”のリアリティを知り、その深層を掘り下げるきっかけになるのではないかと思います。
岡山放送は2008年度、日本民間放送連盟「メディアリテラシー実践プロジェクト」の助成を受けて、高校生とともに番組を制作する活動に取り組み、テレビの送り手と受け手が一緒にメディアリテラシーを学ぶという試みをおこないました。このプロジェクトに飯田が派遣講師として関わり、昨年度、こうした取り組みを無理なく継続するための意見交換を重ねた結果、この講義が実現しました。
講義の内容は、学生との質疑応答を含めて、すべて収録します。岡山放送では後日、社内試写をおこない、講義の内容に関連する部署からは、学生の意見に対する見解や質問への回答を出していただき、次の講義のさいに報告してくださることになっています。すべての講義が終わったあと、ローカル局のあり方について学生と討議する計画も立てています。
そういうわけで、一昨日スタートした講義には、講師とは別に6名のスタッフが教室にいらっしゃいました。カメラマンさん2名、音声さん1名の2カメ体制。制作部からは3名いらっしゃって、そのうち1名は、前日に配属されたばかりの新入社員。ずいぶん奇妙な新人研修になってしまったようです。かなり大掛かりなクルーで、教室自体がマスメディアの制作現場となっています。
地上波のデジタル化が完了する7月まで、あとわずか。テレビのあり方が大きく問われている今、ローカル局の存在価値を探究する実験のひとつになればといいなと考えています。
(メディア情報文化学科 講師 飯田豊)