こんにちは。今日は、ゼミのみなさんと一緒に福山市新市にあります棺屋さんに行ってまいりました。
なぜ、メディア情報文化学科(4月よりメディア・映像学科となります)の人間が棺屋さんに研究訪問に行くのか、と疑問に思われる方もいらっしゃるかもしれません。簡単に補足をしますと、私はこちらの教員紹介にも書いておりますように、メディアと墓をキーワードとした研究をしてきました。メディアというと、テレビやケータイなどがすぐに浮かぶかと思いますが、メディアが情報のやり取りの仲立ちになるものと考えた時に、墓もまた、故人や生者をつなぐもの、生者同士をつなぐもの=メディアとして捉えられるのではないかと考え、近代の墓参文化についてまとめたりしています。今は、デジタル・メディアの時代における「墓」にも関心がありまして、ネット上につくられつつある「墓」や死後のSNSアカウントの扱われ方についても調べたりしています。この辺のことについてはまた、1年生の授業などで触れておりますのでお楽しみにしていてください。
・・・と、(やはり短くまとまりませんでしたが)メディアについて話す授業の中でこのような話をしていますと、時々死生観に関わることをテーマに卒業研究をしてみたいという学生がゼミに来てくれます。そして、今回は終活セミナーをテーマに考えてみましょうということになりました。そこで、福山市内での終活セミナーを探していましたところ、福山市役所の方にご紹介いただきましたのが㈱共栄のみなさんでした。
※棺工場の中も見学させていただきました。こちらは木の板を貼りあわせているところです。松本さんにご案内いただいています。
着きましたら、さっそく栗原社長はじめみなさんにお出迎えいただきました。「終活のプロもお呼びしております」とのことで、わざわざ岡山から終活カウンセラーの小野さんをお誘いいただきまして、一緒に終活の考え方について伺いました。
一般社団法人終活カウンセラー協会が認定する終活カウンセラーの方々は、全国で9000名以上いらっしゃるとのことで、棺や墓の相談だけではなく、相続や保険、介護、自身の健康についてなどの相談を受け付け、そのつど必要と思われる専門家につなぐ役割をしていらっしゃるのだそうです。終活セミナーは、入棺体験や、ポートレート撮影体験なども行われ、今や毎週どこかで終活セミナーが行われるほど、「ブーム」となっているとのこと。㈱共栄の方も「棺は、これまでは見るのも嫌という方もいらしたが、最近では百貨店でフェアが開かれるくらいまで社会の意識が変わったように見えます。ここ3、4年くらいの話でしょうか。」とおっしゃっていたのが印象的でした。「終活」と言う言葉自体は、2009年の『週刊朝日』記事が始まりとのことでしたが、その後震災の影響もあり徐々に世の中に浸透していったということのようです。
※こちらはボンド付を行う機械です。溝を均等に彫る機械やプレスする機械など、一つの棺をつくるまでにいくつもの機械を通っておりました。
※このように蓋には扉がつくものもあります。扉がつくと棺感が増しますね。福田さんにご案内いただいています。
このように、㈱共栄でデザイン・開発されている棺に囲まれながらのインタビューとなりました。朝10時から15時まで、お弁当までご用意いただきまして、濃密な時間を過ごさせていただきました。一つの棺にこれだけの「手」が関わり、装備ひとつひとつにメッセージがあること、周りの人たちの協力のなかでの終活が当たり前となり、終活という流行言葉で終わらないようにすること、そして、自分一人だけの生ではないということが終活の根幹にあることがわかりました。㈱共栄のみなさま、終活カウンセラー小野さま、このたびはお忙しいなかこのような貴重なお時間をいただきまして、本当にありがとうございました!今日伺ったことを反芻して、また新たな質問をもって伺いたいなと思っております。よろしくお願いいたします!
最後に、おまけとしまして、、、私たちも入棺体験した一コマを。
小野さんや㈱共栄のみなさんに「ぜひ入ってみてください。何か気持ちが変わると思いますので」と言われ入ってみましたら…その後饒舌になっている私たちがおりました(!)。