安田 暁 講師
(専門:美術、写真、デザイン)
「皆がきょとんとするようなことを見つけたら、世界は広がるんじゃないかなぁ」
今年から福山大学で教鞭を執っている安田先生。その立ち振る舞いはまさにスタイリッシュという言葉が似合うだろう。今回はそんな先生の内面に迫ってみた。
■安田先生なりの道
Q:では質問に移らせていただきます。最初になぜ福山大学に来られたのかを教えてください。
大学を修了した後はいろいろな仕事をしたり出身校で助手とかをしていたんですが、芸術大学じゃないところで教えるのも面白いんじゃないかと思ったわけです。それに子供の頃は四国に居たので、何か機会があれば西日本へも行ってみたいと思っていたのも要因の一つです。
Q:環境を変えると新しい発見があったりしますよね。では、次に高校生のうちにやっておいた方が良いことについて教えてください。
そうですね、思い返してみれば僕が高校生だった時は美術の勉強ばかりしてましたね。でも、バンドを組んでいたのはいい経験になっています。高校生に伝えるとしたら…人に「やれ」とも「やるな」とも言われないことをやりましょう(笑)。人に「やれ」と言われてやるのはつまらないし、「やるな」と言われたことをやってしまうと人に迷惑をかけてしまうことがありますから。
Q:とても興味深いことを言われますね。そんな安田先生がデザインの道を選んだきっかけは何ですか。
元々何かモノを作ったりするのは好きだったんですが、学校で学んだりやったりすることって既に完成されているものが多いですよね。それが嫌いで。それに、高校生になると文理選択がありますが、僕はそれが嫌だったんです。なので、グレちゃいました(笑)。
■色に平等に
Q:そういえば、先生はカラフルな鞄を持っておられますよね。デザイン関係の仕事をしている人はカラフルなものを持っている印象が強いのですが、先生の場合はなぜカラフルなものを持つのですか?
デザインをやっていると、自分の好きな色ばかりを選ぶことが出来ないんです。なので、色に対して平等な見方をするようになりました。
Q:色に対して平等に、ですか。私にとっては少し不思議な見方です。では、次の質問です。メディア学科ということでコンピュータ上で作品作りをしている人もこのブログを読まれていると思うのですが、何か伝えたいことはありますか?
コンピュータ上で作品を作るのもいいことなのですが、作ったものをコンピュータから出してみる、ということもやって欲しいなと思います。例えばコンピュータ上で何かデザインをつくったとします。それをプリンターとかで印刷してコンピュータから出してみる。こうすることで、コンピュータ上でみる作品とコンピュータから出してみた作品とで印象が違うことに気付くはずです。
■「どこまでやれば完成なのか、っていう質問にはドキッとします」
Q:安田先生はデザインをする上で何かお勧めのソフトはありますか?
逆に、誰にでもお勧め出来るソフトを作ってほしいですね(笑)。よく使うのはPhotoshopですが、好みで言うとすれば、初めて使って驚いたのはIllustratorです。なぜかっていうと、面白いから。点と線だけでデザインが作れるのって凄くないですか?
Q:私の場合、図形を組み合わせて花のデザインを作るという授業に一種の驚きを感じました。点と線ではないのですが、共通するものを感じます。では、続いての質問です。最近何か思ったり考えたりしたことがあれば教えてください。
この間映画の上映会で、「作品の完成はどうやって見極めていますか。」って質問があったじゃないですか(注1)。ああいうのって、ドキッとする質問です。僕の場合は取り敢えず終わりにしてみたりとか、『完成』って書いてみたりしますね。
(注1):今年の5月12日に福山駅前シネマモードで行われた「なみのおと」の上映会を指す。ここで言われている質問は阿部先生によって発案された。
Q:最後にインタビューを読んでいる皆さんへの一言をどうぞ。
今まで面白いかどうかも分からないまま学んだりしてきたことが結びついて分かるようになると、面白いと思うんだよなぁ。あと、皆がきょとんとするようなことを見つけたら、世界は広がるんじゃないかなぁ。
インタビューにしっかり答えつつ、メモパッドに何かを書いていた安田先生。直感で何か書いてみるのが癖になっている辺りにデザインの先生らしさが伺えた。また、写真を撮影する際に生徒がエレキギターを貸すと、バンドで培われた演奏技術を披露するといった一面も。自分に素直に、やりたいことを思いっきりやってきたからこそ、今の彼があるのかもしれない。
インタビュアー:奥出健介、次田春菜子、森咲美