「イマジナリー・ライン」

「イマジナリー・ライン」という言葉をご存じでしょうか。

映像制作の専門用語で、劇映画やテレビドラマなど、映像でお話を描くときに登場人物の会話場面を効率よく撮影するためのテクニックにあたります。

映画の教科書的な本には、だいたいどれにも解説がある基本中の基本用語です。
ですが、これを本だけで理解しようとすると、とても難しい。

以下の文章で理解できるでしょうか。
二人の話者がお互いの目をみて会話している、こういう良くある場面の撮影です。このとき、まず、向かい合う二人の間に頭のなかで線を引きます(想像上の線=イマジナリー・ラインをおくということ)。それから、その線の右側/左側どちらか一方の範囲だけにカメラ位置を絞って、話しているそれぞれの表情を撮影するようにします。すると、役者さんの良い表情をとらえるためにカメラを動かし回しても、撮れた映像は、お互いの目線が右向き/左向きに向き合うように撮影できていて、編集ソフトで会話する二人をきれいにつなぎ合わせることができる。こんなテクニックです。

教科書には、図入りで説明してあるのですが、現場の位置関係を想像できないと頭がこんがらかってしまいます。本の説明だけだと、どうしてそのようにうまく撮れるのか、ということがなかなか納得できません。

そこで、「教養ゼミ」の輪読回では、映画の教科書の説明を読みながら、教室で撮影をやってみることにしました。カメラをもって、どの位置からどんな映像が撮れるのかを確認しながら実際に撮影してみます。そうすると、いかにこの「イマジナリー・ライン」が、撮影現場で編集のことを悩まずにすむ便利なものかが体験的にわかります。

オープンキャンパスの季節がやってきました

6月22日は今年度1回目のオープンキャンパス。生憎の雨でしたが…。

さて、メインとなる模擬授業はといえば、ほぼ毎年の定例となっている「キャッチコピーを考える」です。参加者は毎回違うので、当然生まれる作品もいろいろです。毎年、工夫された作品が出てくるのでそれが楽しみで続けているところもあります。

今年、参加をしてくれた高校生たちもたくさん考えてくれました。ただ、参加者が想定よりも多かったこともあり、すべての作品を紹介することができなかったのが残念。

ちなみに緑色のTシャツを着ているのは、本学科の学生たちです。お手伝いしてくれる人を募ったら10人以上が手をあげてくれまして、積極的に高校生のサポートをしてくれました。今回のようなワークショップ型の模擬授業は彼らのようなサポーターがいて初めて成立するようなところもありますので、大変にありがたい存在です。

次回以降のオープンキャンパスは7月20日(土)、8月18日(日)、9月7日(土)です。詳細は今後公開されますが、今回とは全く違う内容で行いますので、時折ウェブサイトを確認していただければと思います。

ちょっと余談。

学生たちは本番開始前にワークショップを体験してもらっていました。高校生たちが楽しくこのワークショップに参加できるようにするためには、学生たちのサポートが不可欠です。そこで、どのようなところが難しいかを知っておいてもらおうと思ったのです。そうすれば、高校生が困ってるとき経験を踏まえたサポートができるはず。本番の様子を見ていたら、その経験は存分に生かされていたのではないかと思います。次回以降も学生たちの活躍にご期待ください。

教育実習視察にいってきましたvol.2

教育実習視察第2弾です。

コンピュータとプログラミングという項目から、主に情報機器の仕組みに関する部分でした。廣川さんとしては、少し苦手意識のある部分のようで、緊張感はかなりのものでした。ただ、授業全体としては大きなミスもなく、無事に勤め上げてくれました。最後、時間がちょっと足りなくなるということもありましたが、実習生にはよくあること(と言ってはいけないのですが…)です。授業はインタラクティブなものですから、長くけているベテランの教師であっても時間の見通しを確実なものにすることは難しい。むしろ時間の過不足が生じる可能性を含めて、どのように対応するかが、授業を考える上での一つのポイントになります。

さて、高校の実習は自分の出身校に行くというのが一般的です。実習生の廣川さんも自分の母校なのですが、自分のときと雰囲気が違って緊張すると言っていました。おそらく立場がかわって見え方もかわったということもあるのではないかと思います。それも成長の証なのではないかなと感じました。

たった2週間、されどいろいろ実感を伴う2週間だったのではないでしょうか。

教育実習視察に行ってきましたvol.1

先日、学科4年生菅さんの教育実習の視察に行ってきました。

今回の内容は、コミュニケーションと情報デザインから、プレゼンテーションやレポートのまとめ方についてでした。高校の実態として、1コマで取り扱わないといけない内容の多さはなかなかです。その制約の中で、授業のリズムやメリハリを踏まえつつ、学習活動をデザインしなければなりません。当然ながら課題はあるものの、教師然としていて堂々と授業ができていました。授業の内容と課題がうまく組み立てられている部分について、担当の先生の指導かと思っていたんですが、指導担当の先生のお話では、菅さんと内容を相談する中で、大学の授業で学習したことを活かせることに気付き、課題として取り入れたとのこと。大学での学びがしっかり根付いていて嬉しく思いました。

高校の情報科は今年度行われる大学入学共通テストに加わるなど、注目されています。管理職の先生たちとのお話の中では、学生たちの採用試験受験状況なども話題になりました。教師になりたい学生たちを、自分としてもしっかり応援していこうと改めて思った次第です。

2024年度第1回就職ガイダンスに、学生が参加しています

メディア・映像学科3年生を対象とした就職ガイダンスが開催されました。

就職活動は多くの大学生にとって大きなできごとです。もちろんニュースになるくらい、社会的にも大きなイベントになっているわけですが、周りで見ているのと、いざ自分が当事者になって就職活動をする、ということの間にはいろいろな差があります。

福山大学では、就職課を中心に学生の就職サポートを行なっています。自分に合った、良い進路を目指したいというのは誰もが考えていることです。そのためにできることは何かを選んでいくのは、ネットなどで情報が溢れている現在、逆に難しくなっている面もあります。このガイダンスでは、就職課の平さんから、そういった情報の見極めなどについても話がありました。

流石にみな真剣に取り組んでいました。
就職課だけでなく、メディア・映像学科では学科としてもさまざまな進路のサポートを行なっています。
就職関連のイベントは、今後もこちらのブログでも報告します!

“映画マナーCM”、上映しています!

以前、こちらのブログでも紹介させていただいた、映画鑑賞時のマナーについてお伝えする、映画上映前に流されるCMが完成し、広島県内の映画館で上映が始まりました。

以前お伝えしたように、このCMは福山大学と広島県興行生活衛生同業組合との共同研究として制作を開始しました。メディア・映像学科のスタジオでの撮影のあとは、今回の企画のパートナーとして多大なサポートをしてくださっている、福山エーガル8シネマズに伺い、映画館内でも撮影をしています。

撮影後には、映画館のスクリーンで上映するために必要な調整や編集を時間をかけて行いました。その過程では学内のAVルームでのテストをしながらの作業も行っています。映画館のスクリーンとは大きさがかなり違うのですが、映像に集中できる環境は、手元のPC上で見るよりはぐっと客観的になります。

今回のCMは、メッセージを押し付けるようなものではなく、自然に見ていただけるようにということを大切に作っています。そのため、演出としては抑えめになっている部分もありますが、映画館で見ていただくときっとしっくりくると思います。

スマートフォンで映画を見ることができるようにもなっている現在ですが、映画館では、映画館でしか味わえない映画、映像の体験があります。ぜひ、映画館であらためて映画を見ていただきつつ、このCMもご覧ください!

広島叡智学園に行ってきました

先日、大崎上島にある広島叡智学園にお邪魔してきました。ここはバカロレア認定されている全寮制中高一貫校で、留学生も多数受け入れている新しい学校です。

さて、今回は「私たちはメディアから何を得て何を失うのか」というテーマで、中高生に向けて講演するという仕事でした。広島叡智学園は全寮制であるがゆえに、日常の生活習慣も含めて各自のセルフコントロールがすごく重要になります。そこで、デジタルメディアによって我々の生活がどう変わったのかということを明示化すると同時に、メディアにどのように支配されてしまうのかという点について解説しました。支配という言葉が強いということであれば、影響を受けるのかと言い換えてもいいかもしれません。どちらにしても、生活様式やモノゴトの考え方がメディア特性と無関係ではなく、気づかないうちにメディア特性に合わせて行動をしてしまっていることがたくさんあり、それを意識しないといけない時代ですよという話をしてきました。最近ではデジタル・シチズンシップという考え方が重要視されていますが、この考え方は広島叡智学園が大事にしていることとの接点があり、中高生にとってイメージしやすいこともあったかなと思います。

今回は中学生に対して対面、高校生は別会場で遠隔配信というスタイルですすめました。初めての試みだったようで、配線等がなかなか複雑だったようです。高校生の方でどのように見えていたのかはちょっと気になるところです。

初めて行く学校でいろいろテンションあっちゃったため、写真を撮るのを忘れてしまいましたが、寮にはすだれがかけられて日本らしいデザインになっていました。その他、木のぬくもりを感じられるつくりになっていたりと、ここでどんな授業が行われているのか今一度じっくり拝見したい気持ちでいっぱいです。学校の向かいにキャンプ場があったので、次回機会があったら、そこをベースキャンプにして訪問したいと勝手に思っています。

春のオープンキャンパス

3月16日(土)に、福山大学春のオープンキャンパスを開催しました。メディア・映像学科では「クレイアニメをつくってみる」という制作演習を行いました。

クレイアニメは「簡単なストーリーを考える。登場する人やモノを粘土作る。人やモノを配置しカメラで写真に撮る。人やモノを少し動かし写真に撮る。」という作業を繰り返して制作するアニメーションで、パラパラ漫画のようなものです。単純作業のようですが、ストーリーを考えることや、被写体をどの方向からどのように撮るかの工夫など、映像制作のエッセンスが詰まっています。

クレイアニメはスマホ・タブレットのアプリを使って作ります。アプリの使い方は特に説明しなくてもみなさんすぐにマスターしていました。

この演習では、キャラクタなどの造形に集中してしまい、写真撮影する時間が無くなてしまう、ということが良く起こります。ペース配分がとても大事です。

今回はみなさん無事に?撮影まで終えることができました。

福山大学オープンキャンパスはこの後、6月から9月に計4回開催されます。メディア・映像学科では模擬講義やCG・映像等の制作演習など、さまざまなイベントで高校生の皆さんをおまちしています。興味のある方はぜひご参加ください!

卒業研究・制作発表会を開催しました!

メディア・映像学科の卒業研究・制作発表会を2月15日(木)に開催しました。3DCGや動画、写真、ゲームやWebページといった制作系の発表や、展示手法に関する研究など、今年度も幅広い発表テーマとなりました。

この発表会は学科学生が勢ぞろいする賑やかなイベントです。ここ数年は新型コロナウィルス感染予防の観点からオンラインでの実施としていました。今年度もオンラインか対面かをギリギリまで検討しましたが、インフルエンザも流行していることを考慮して、昨年同様Zoomによるオンライン形式で実施することになりました。

発表会はZoomルームを3室設置し、同時に3名が発表する形式としました。聴講する学生は、発表タイトルを見て聴きたい発表が行われるZoomルームに入室します。そして、発表ごとに「コメントシート」(Microsoft365のFormsを使用)を記入します。集まったコメントは後日、発表者に渡されます。

写真は発表会の様子です(Zoom画面のスクリーンショットです)。この学生は福山大学の学食の女性利用者数が少ないことに着目し、女性利用者増加を目指した学食Webサイトの構築を行いました。

午前中は3年生の発表、午後からは4年生の発表と、合わせて約6時間の長丁場となりました。とはいえ、Zoomでの聴講や発表自体は手慣れたもので、特に大きなトラブルはありませんでした。4年生がゼミでどのような取り組みをしてきたのかを1~3年生が知ることができる良い機会になったと思います。

なお、素晴らしい発表を行った学生若干名に、教員から粗品を贈呈する「教員賞」の選考も合わせて行いました。教員賞の発表は4年生は卒業式で、3年生は来年度のガイダンスで行う予定です。

皆さん、お疲れ様でした。

「映像文化入門」で作品プレゼン会を行いました

メディア・映像学科の必修科目「映像文化入門」では、受講生自ら制作した短編映像を持ち寄って、プレゼンテーション・合評会を行いました。制作物のテーマは「懐かしさ」もしくは「未来感」とし、映像でどう過去/未来の時代感を表現するかに取り組んでもらっています。

みなさん、どの作品もそれぞれに工夫があり、非常に質の高いプレゼン合評会になりました。

10段階で参加者それぞれに評価してもらった結果から集計し、次のものを金賞、銀賞、銅賞としました。(集計は、投票得点の合計÷投票者人数で集計しています)

金賞
Iチーム(小田さん・重森さん・篠原さん) (8.60)

校舎をVR風の映像で見せて未来感を演出した作品でした。造りが非常に凝っていました。

銀賞
Nチーム(瀧口さん・馬場さん・林さん)(8.32)

今の日常風景に、スマホに話しかけることで何でもできてしまう未来という設定を盛り込むことで未来感を演出し、とてもリアリティのある作品になっていました。

銅賞 同率2組
Oチーム(岡野さん・仙田さん・宮永さん)(8.27)

昔テレビでみた料理番組を題材にした作品です。しかし、ただ料理番組を再現するのではなく、調理しているものが、得たいのしれない緑色の未来の物体だという、とてもアイディアに富んだ作品でした。


Pチーム(近藤さん・Niさん・Dongさん)(8.27)

歴史の感じられる中国の建築や風景などを集めて歴史を感じさせる、見応えのある作品でした。

どれも甲乙つけがたく、僅差で賞を逃した人も多かったです。この経験が、これからの映像制作に励みになればと思います。